これ、通れば勝ちです

アニソンの話したり遊戯王の話したりします。

【遊戯王】融合軸転生炎獣デッキ解説Part.1~転生ってなぁにこれぇ編~【大会優勝】

(前置きはプロフェッショナル仕事の流儀風でお送りします)

ポ―転生炎獣(サラマングレイト)―ン

遊戯王OCGにSOFUから収録され、2018年末頃のストラクチャーデッキ「ソウルバーナー」での新規カードによって、一躍、環境トップデッキ入りを果たす。

その後、《転生炎獣ガゼル》の制限入りにより弱体化を受けるが、それでもなお2019年世界大会決勝ではサラマン同士のミラーマッチになるほど、力を保ち続けている。

だが、2019年12月時点でのデッキ分布率においては、「少ないとは言えないがトップとも言えない」程度の数字を見せている。

トップに返り咲くことは、もう無いのか。

そこに、1月発売の新弾パック「ETERNITY CODE」から一枚のサラマングレイト新規カードが姿を見せた。

ゼブロイドXではない。

《プロキシー・F・マジシャン》である。

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カテゴリ入ってないやん…

先述の世界大会や国内環境でのサラマンは、《サラマングレイト・ロアー》《サラマングレイト・レイジ》等の強力な罠カードを、《転生炎獣サンライトウルフ》によって使いまわしながら制圧し、相手のリソースを削りながら殴るメタビート的な動きが主流である。

だが、この《プロキシー・F・マジシャン》の登場により、【サラマングレイト】は「メタビ」から「1ショットキル」デッキへと転生を果たしたのである。

(ここでスガシカオの「progress」が流れる)

 

どうもお久しぶりです。二郎です。

先日、秋葉原某店でのショップデュエル大会で【融合軸転生】を使い優勝したのでそのデッキレシピと、各々のカードや回し方について解説していこうと思います。

サラマングレイトというデッキは非常に使いごたえのあるデッキなので、使用者が一人でも増えて欲しいとの思いで、サラマンの基礎的な回し方から、僕なりのプレイングについてパート分けしながら書き散らそうと思います。拙い部分もありますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

 ハイランダーみたいな構築してるな俺な。

 

キーカード紹介

「環境入りの立役者」「アドの概念ぶち壊せ」「終末の騎士の擬獣化」《転生炎獣ガゼル》

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 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:「転生炎獣ガゼル」以外の「サラマングレイト」モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「転生炎獣ガゼル」以外の「サラマングレイト」カード1枚を墓地へ送る。(制限カード

(遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ カードデータベースより引用)

 【サラマングレイト】のメインエンジンといえばガゼルである。墓地にサラマンモンスターが置かれた時手札から特殊召喚できる効果に加え、召喚特殊召喚に成功するとサラマン「カード」を何でも墓地に落とすことが出来る何でもできるヤベーやつだ。

ガゼルの真価は、「1枚から取れるアドの量がとんでもない」点にある。

他の主要サラマンの効果紹介も兼ねて、ガゼル一枚からできる基本ムーブを図付で解説する。この動きに手札の他のカードも合わせてアレンジしていくので、サラマンをこれから使うという人は絶対に覚えてもらいたい。

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1.手札にガゼル1枚が存在。

 

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2.ガゼルを手札から通常召喚。効果でスピニー墓地落とし。

 

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3.ガゼルが存在するためスピニー自己蘇生。レベル3×2体でミラージュスタリオX召喚。

 

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4.スタリオ効果でJジャガーリクルート

 

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5.スタリオとJジャガーの2体でサンライトウルフリンク召喚。

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6.墓地のJジャガー効果でスタリオをEXデッキに戻し、ウルフのリンク先に蘇生。サンライトウルフ誘発効果で墓地のガゼルを回収。

 

…お気づきだろうか?

召喚権の消費だけで、場には1800のモンスター2体、リンク素材約3体分、しかもガゼルは手札に舞い戻るというインチキ極まりない動きを1枚でやってのけるのだ。

しかも相手場にモンスターがいればミラージュスタリオの効果でバウンスも狙えるので、(捉え方にもよるが)+2~4のカードアドバンテージを得ていることになる。

なんとこの動き、サラマン使いの人には分かると思うが「手札にガゼル以外のサラマンがいない」場合に仕方なく行うパターンである。これで一番弱い動きなのだ。

ここまで書いててどうして禁止にならないのかが不思議に思えてきた…。

ここから先は状況によってさまざまだ。

ウルフの転生を狙うならジャガーをベイルリンクスに変換し聖域サーチから転生リンク、あるいはヒートライオにつなげて相手場の魔法罠をバウンスしつつ、転生権を切れば相手場のモンスターの打点変更から戦闘破壊に繋げることもできる。

また、詳しくは後述するが、この動きをした後にターンを跨ぐだけでスピニー、Jジャガーの自己再生可能な2体が墓地に存在するので、えげつない展開を再度行うことが出来るのだ。

 

「強欲で謙虚なサラマン」「永続カードは俺の餌」「サラマンの裏番長」《転生炎獣フォクシー》

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【サラマングレイト】の全盛期は環境に台頭した直後、ガゼルを3枚積むことが出来ていた頃である。ガゼルデバッガー炎陣がそれぞれ無制限、9枚初動という非常に安定した動きを見せていた。

ガゼルは同名では墓地落としのトリガーにならず、同名を墓地に落とすこともできないので、初手で被るとややディスアドバンテージになっていた。

先攻展開中にサンライトウルフのサルベージ効果で戻す炎モンスターも、山にあってもアクセス手段が豊富なガゼルを残し、相手が打った《増殖するG》に対して打った《灰流うらら》を選択、ロアーの妨害と含めて2枚の動きを止める構えが多かったように感じる。

そう、あの時までは…

2019年7月、《転生炎獣ガゼル》制限カードに指定

ついでに《レディ・デバッガー》も制限入りした。

サラマンデッカー達は苦境に立たされた。一気に初動が4枚も消えたのである。

19年1月のDARK NEOSTORMで登場した《サイバネット・マイニング》を3積みすればまだ8枚を保てたが、手札コストの有無の差は大きい。

どうすれば安定を図れるか、その答えとして辿り着いたのがこの《転生炎獣フォクシー》の3積みであった。

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚めくる。その中から「サラマングレイト」カード1枚を選んで手札に加える事ができる。残りのカードはデッキに戻す。②:このカードが墓地に存在し、フィールドに表側表示の魔法・罠カードが存在する場合、手札から「サラマングレイト」カード1枚を捨てて発動できる。このカードを特殊召喚する。その後、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を選んで破壊できる。

要約すれば、

①召喚成功時に、デッキトップ3枚を見てサラマンがあれば何でも手札に加える「強欲で謙虚な」効果

②墓地に存在するとき、表側の魔法罠があれば手札のサラマンを切って墓地蘇生、ついでに表側の魔法罠を選んで破壊する効果

この強力な2つの効果をいずれかターン1で使用できるというものだ。

…いや、強くね?

下手したらガゼルよりこいつの方がヤバくね?

ガゼルの強みは、「召喚権を使わず」「幅広いカードにアクセスでき」「ディスアドになりにくい」というところにある。

だが、裏を返すとガゼル単体では墓地を一枚肥やすことしかできないと捉えることも出来る。落とすカード(特にスピニー)とのコンボによってようやく前述のようにアドバンテージを稼ぐことが出来るのだ。

 

しかし、フォクシーはガゼルのように確定ではないものの「あわよくば手札を増やし」「あわよくば手札を1枚サイクロンにして自己蘇生」というアドバンテージへの直結を期待できる効果を備えている。

①の強謙効果は、初手で初動札を一枚も引けなくとも、フォクシーを召喚できればトップ3枚の中のガゼルや炎陣を加えられるため、安定につながる。

もしガゼルor炎陣が無くとも、フォクシーは星3であるためスピニーを加えることで墓地送り→蘇生からミラージュスタリオに繋げるという動きも可能である。

「そう上手くいくか」と思うかもしれないが、仮に初手5枚がフォクシーのみで他は非サラマンカードだとする。35枚の山の中にガゼル1枚炎陣2枚スピニー3枚があるとき、それらが1枚もめくれない確率は

29×28×27/35^3≒0.5113、すなわち約48%の確率でミラージュスタリオに繋げることができるのだ。これを低すぎると考えるようでは勝負に立てない。

また、山に12枚サラマンがあるとすれば、

1-(23×22×21/35^3)≒0.7522、75%の確率でサラマン札を1枚増やすことができるのだ。

 

②の効果、発動条件に手札コストと、一見扱いづらい蘇生効果のように見えるが、回してみると全くそんなことはない

発動条件である「表側の魔法罠の存在」だが、相手フィールドに存在していなくとも、《転生炎獣ベイルリンクス》リンク召喚成功時にサーチできる《転生炎獣の聖域》を張るだけで満たすことが出来る。

また、蘇生後の破壊効果も任意であるため、必ずしも割る必要はない。

逆に、相手場に厄介な永続魔法、罠が存在する場合はそれを除去する手段にもなり得る。

例えば、相手が先攻で《魔封じの芳香》をスタンバイに張ったとしよう。

手札に《転生炎獣の炎陣》があれば、チェーン発動でフォクシーをサーチ、メインに入り、召喚して①の効果を使わずに《転生炎獣ベイルリンクス》を召喚、効果で《転生炎獣の聖域》をサーチ、②の効果で表側の魔封じがあるため、聖域や他のサラマンカードを切って蘇生、魔封じを選んで破壊。といった動きができる。

上の動きは全て炎陣もしくはフォクシー1枚で完結しており、全部通れば召喚権を使って場にモンスター2体を用意、相手場のカード1枚を破壊しているため、+3のフィールドアドバンテージを取れてしまうのだ。これはガゼルにはできない芸当である。(無論ガゼルからフォクシー落としでできるっちゃできるが)

 

そして、手札コストにおいても、「サラマングレイト」カードであれば種類を問わず切れるため、手札よりも墓地にいた方が真価を発揮するスピニーやJジャガー等を切ることで、コストが蘇るという実に奇妙な動きにつながってしまうのだ。「サラマングレイト」魔法罠でも、転生サンライトウルフの起動効果や、墓地に送られた《転生炎獣ファルコ》の誘発効果など、それらを回収することも容易にできるため、何を切ってもノーコストだと思ってくれて構わない。

そして、お気づきだろうか。このカードに隠されたもう一つの強い点に。

このモンスター、「サラマングレイト」というカテゴリをサポートする「サラマングレイト」カードでありながら、二つの効果のどちらにも同名に関する制限が無いのだ。

例えば、①の効果で《転生炎獣フォクシー》がめくれてもそれを手札に加えられるし、(僕はこのムーブをすると必ず「お前はエアーマンか」といいます)

②の効果で切るコストが《転生炎獣フォクシー》であっても構わない。

 フォクシーでフォクシーを加え、フォクシーでフォクシーを蘇生する無限フォクシーシステム…!!!

KONMAIがこの過ちに気付いて制限にしないよう、祈るばかりである。

 

「スタリオのズッ友」「一生出てくるやべー奴」「ついでに貫通付けとくわ」《転生炎獣Jジャガー

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名前にジャックとあるが某キングとは特に関係ないようだ。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「サラマングレイト」リンクモンスターが存在する場合、「転生炎獣Jジャガー」以外の自分の墓地の「サラマングレイト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、墓地のこのカードを自分の「サラマングレイト」リンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。

よくミラージュスタリオのリクルート効果で出てくるこいつだが、なぜこいつなのか。

それはほぼノーコストで蘇生できるからだ。

こいつが蘇生するにはサラマングレイトのリンクモンスターが存在し、かつそのリンク先が自分のメインモンスターゾーンに向かっていることが条件である。

一応、リンク4の《転生炎獣パイロ・フェニックス》のみが横向きのリンクマーカーを持っていますが、重い上に効果が相手依存になりがちなので使われることはほぼない。

それでも、ベイルリンクス、サンライトウルフ、ヒートライオはいずれもEXモンスターゾーンに存在すれば下にマーカーが向くので、更なるリンク召喚につなげることも容易。また、蘇生時は表示形式を問わないので、簡単に蘇生できる1800打点としても優秀。貫通も持っているので《スケープ・ゴート》などを出されても着実にライフを削りに行ける。

そして、実質的なコストとして必要な自身以外でデッキに戻すサラマンだが、リンク素材等にしたミラージュスタリオ、転生素材にしたサンライトウルフなど、EXデッキのサラマンを戻すことでリソース回復ができる点も重要だ。

また、メインに入る下級サラマンで、1800は最も高い数値である。相手に何かしらの手段で特殊召喚を封じられている場合、基本的にジャガーで戦っていくことを強いられる。手札にスピニーがあれば打点パンプ効果で2300打点になれることは頭に入れておくといいだろう。

 

どのサラマンデッキにも入るメインサラマンの重要どころは主に上の3枚とスピニーである。スピニーは手札から捨てることでフィールドのモンスターの打点を500アップする起動効果と、場にサラマンがいれば除外デメリット付きで自己蘇生する起動効果があるが、だいたいスタリオのX素材となるので除外されずに墓地に送られる。

上のレシピにはそれ以外のサラマンもいるが、それらの紹介は次回にしてサラマンの基本ムーブ解説に移ろう。

 サラマンの基本初動ムーブ

ではここからは、サラマンの先攻初手の動きを実践していく。

先ほどから初動札としてガゼル、及びそれらをサーチできるカードを挙げているが、先攻で強力な盤面を作るには複数枚のカードが必要になってくる。

説明のしやすさも兼ねて、ブン回して作りたい盤面から解説していこう。

ぐっすりバグースカ&目覚ましロアー盤面

 

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これは手札に「ガゼルorガゼルにつながるカード」1枚と「スピニーorスピニーにつながるカード」1枚と、「フォウルorフォウルにつながるカード1枚」計3枚から妨害が無い場合に完成できる盤面である。

ガゼル、スピニー、フォウルにつながるカードとして、炎陣やデバッガー、サイバネットマイニングが存在するが、いずれも名称ターン1である点には気をつけたい。

サンライトウルフは転生状態であり、ロアーを伏せて1妨害と、バグースカによるフィールド上のリンクモンスター以外の効果封じにより、この盤面を返すには少なくとも2枚以上の消費が必要となる。また転生サンライトウルフ及びミラージュスタリオを戦闘・効果から一回、ベイルリンクスの墓地効果によって守ることが出来る。

ターンが帰ってくればまたガゼルを召喚でき、除去が何もなければバグースカとスタリオを起こし、スタリオの効果で適当な素材をリクルート、サンライトウルフとスタリオでヒートライオを出し1体で転生すればモンスターを1枚、伏せを2枚バウンスできる。バグースカの維持コストとして墓地に落としたJジャガーをヒートライオのリンク先に出し、墓地のスピニーも立てられれば、2300+2000+1800+1500+1000=8600で勝負を決めることが出来る。

 

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では、ガゼル、スピニーにつながるカードとしてデバッガーと炎陣、素引きしたフォウルの3枚から上の盤面まで辿り着いてみよう。

 

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1.炎陣でガゼルサーチ後、デバッガー召喚でスピニーサーチ。

 

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2.デバッガー1体でベイルリンクス、効果で聖域サーチ。

 

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3.ベイルリンクスを対象にスピニー効果起動。その後、スピニーが墓地に送られたのをトリガーに手札からガゼル特殊召喚。ガゼル特殊召喚時効果でロアー墓地落とし。

 

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4.スピニーを自身の効果で蘇生しガゼルと2体でミラージュスタリオX召喚。ミラージュスタリオ効果でガゼルを切ってJジャガーリクルート

 

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5.ベイルリンクスとJジャガーの2体でサンライトウルフリンク召喚、聖域を張りサンライトウルフ1体で転生リンク召喚。

 

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6.墓地のJジャガーの効果でサンライトウルフをEXデッキに戻しリンク先に特殊召喚、成功時にサンライトウルフの誘発効果チェーン1、手札のフォウル効果チェーン2と組み、フォウルを手札から特殊召喚後、墓地のガゼルをサルベージ。転生サンライトウルフ起動効果でロアーをサルベージ。

 

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7.Jジャガーとフォウルの2体でバグースカX召喚。ロアーをセットしてエンド。

 

主な注意点としては4.でスタリオ効果のコストとしてスピニーを切ってしまうと、スタリオを残したままガゼルを手札に戻せなくなってしまうので気を付けたい。

 

とはいえ上のように確定札3枚が初手に揃うのはなかなか無く、体感で10回に1回といったところだろうか。

10回中6回は最低でも以下のような盤面を作ることになる。

壊獣ケア型サラマンリンク2体盤面

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バグースカを外す代わりに、ロアーによる1妨害を安定させた盤面である。

ロアーは効果・魔法・罠を止められる強力なカウンターであるが、弱点も存在する。

それは発動条件として「サラマングレイト」リンクがフィールド上に要求する点である。サンライトウルフは攻撃力1800とやや心もとない数値であるが、墓地のベイルリンクスで一回だけ戦闘効果破壊から免れることができる。ヒートライオは2300となかなか戦闘では突破されない打点であるが、出すのにリソース消費がかかりすぎる点と、リンク召喚成功時の魔法罠バウンスが初手では使えないことを考えると温存しておくのがよい。パイロフェニックスは論外である。

逆に言えば、フィールドからサラマンリンクがいなくなってしまえば、伏せたロアーは腐ってしまう。どかすために多く使われるのはチェーンブロックも作らず、破壊耐性も無視できる「壊獣」だろう。

とは言え、壊獣は性質上1体しか除去できない。壊獣の比率を増やせば自軍にも出して戦闘破壊を狙えるが、多くのデッキで除去として採用されるのは2~3枚だろう。

上のようにサンライトウルフと2体目のベイルリンクスを並べることで、壊獣一枚でロアーが腐ることをケアすることができるのだ。

またこの盤面は「ガゼルorガゼルにつながるカード」1枚と「スピニーorスピニーにつながるカードorロアー」1枚の確定札2枚のみで完成させることが出来る。

サーチまでの手順は省略する。

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1.手札にガゼルとスピニーが存在

 

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2.スピニーを通常召喚

 

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3.スピニー1体でベイルリンクス召喚。聖域サーチ効果にチェーンして手札のガゼルの誘発即時効果で特殊召喚。聖域のサーチ処理後、ガゼルの効果でロアーを墓地落とし。

上の手順1,2はあくまでも1例であり、結果的に3のような「墓地にスピニー、手札か墓地にロアー」の状態が作れればよい。

初手で手札にロアーが来ていたなら、ガゼルを召喚し落とすのはスピニーになる。デバッガーでサーチしていたなら、デバッガーをベイルにし手札のスピニーを切ればガゼルの特殊召喚トリガーとなる。

あとはガゼルの項目で解説したように、スタリオを立ててJジャガーから転生ウルフを作ればよい。

 

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転生ウルフ効果でロアーを回収。ジャガー墓地効果でウルフを戻して蘇生、ウルフ誘発効果で墓地のガゼルを回収。

 

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最後にジャガーをベイルにし、手札のロアーを伏せて完成。

初手でロアーを素引きしていたなら、サーチに使用した炎陣やマイニングの手札コストとしたサラマン魔法罠を回収することもできる。炎陣は名称ターン1だが、速攻魔法ゆえに伏せておけばフリーチェーンで相手番に発動でき、いざとなればパンクラトプス等のモンスター効果からウルフを守ることも出来る。

と、10回中7回は強固な盤面を作ることが出来たが、では残り3回の内訳はというと、

1回はガゼルを引き込むことすらできないメタカードだらけの負け手札。

2回は以下のような少なくとも1妨害を構える盤面である。

最低1枚は消費させる盤面

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自分を閃刀姫だと思い込んでいるぼっちウルフ。

この盤面は手札にガゼル一枚と、スピニー以外で通常召喚可能なサラマンが一体いる場合に作れる。先述のとおり壊獣一枚で崩壊するが、それさえなければ1回の妨害はできる可能性がある。

画像を用意するまでもないので、文章だけで説明すると、

 

1.ガゼルじゃないサラマンを召喚。

2.サラマン1体でベイル召喚。ベイルで聖域サーチ&サラマンが落ちたのをトリガーにガゼル特殊召喚。ガゼルでロアー墓地落とし。

3.ベイルとガゼルでサンライトウルフ召喚。聖域を張って1体で転生。ロアー回収。

 

この展開の弱い点は何といっても「ガゼルが帰ってこない」点にある。

サラマンははっきり言って「盤面全ぶっぱされようと」「ニビルを食らおうと」、墓地が肥えていて手札にガゼルが生きてさえいればいくらでも巻き返す手段があるテーマである。

本当に怖いのはゴキブリと全体除外である。

 

仮に「ガゼルじゃない方のサラマン」がJジャガーであれば、手順3以降を以下のようにしてガゼル回収ができる。

3'.聖域を張りベイル1体でベイル転生。ベイルとガゼルでウルフ召喚。

4'.墓地のジャガー効果で墓地のベイルをデッキに戻し、ウルフのリンク先に蘇生。ウルフ効果でガゼル回収。

5'.ウルフ起動効果でロアー回収。

 

Jジャガーは非常に小回りの利くモンスターだが、スタリオからの特殊召喚が容易なため複数枚差すメリットはあまりない。そのため手札にガゼルとジャガーのみという状況は滅多にないと思うが、上のような展開を覚えておいて損はない。

 

初手で増Gを食らった!どうする!!

うらら、ヴェーラー、ニビル、ファンタズメイ、無限泡影…。

現代遊戯王と真剣に向き合うとき、手札誘発は決して無視できない存在である。

こうしたカードが存在するために、展開に特化した制圧高速ビートダウンと、低速型メタビートが同時に環境に姿を見せられるため、デッキタイプの多様化を図れているといえよう。

 とはいえサラマン(だけに限らないが)には絶対的に苦手とする手札誘発が存在する。

《増殖するG》である。

サラマンは特に、リンクモンスターが「転生」することでようやく真価を発揮する。だが増G適用下では、1体目と2体目を出すだけで相手に2ドローさせてしまう。

それを防ぐためにも、《灰流うらら》の2積みに《墓穴の指名者》の3積みは必須である。《抹殺の指名者》を入れて8枚体制にすることも考えられるが、対策するカードをデッキに入れる枠を考えるとやや難しいため、そこはデッキ枠との相談になる。

しかし必ずしも初手でうららや指名者を引けるわけではない。引けたとしても、ガゼルサーチに打たれたうららを差すために指名者を使ってしまい、ガゼルの特殊召喚効果に増Gチェーン発動...というのはサラマンでおなじみの光景である。

では、指名者が無い状況でGを食らった場合の最適解とは?

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上のようにバグースカ付き盤面まで目指せる状況(手順3)で、手札からのガゼル特殊召喚効果に、増Gを打たれたと仮定する。

スタンバイに増Gを打ってくるパターンも存在するが、その場合特殊召喚しなければ相手は手札が-1、後攻ドローを含めても先攻と同じ5枚からスタートとなるため、大抵は「チェーンブロックを作る特殊召喚効果」にチェーンする形で発動する。

こうなるとガゼルの特殊召喚は止められないため、少なくとも相手は1ドローで±0となる。

その処理後、ガゼルの墓地落とし効果でデッキから落とすカードを選ぶことになる。

ここで選ばれる最適解が、《転生炎獣ファルコ》である。

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このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「サラマングレイト」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。②:このカードが墓地に存在する場合、「転生炎獣ファルコ」以外の自分フィールドの「サラマングレイト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻し、このカードを墓地から特殊召喚する。

正直、ノーマルとは思えないほど優秀であり、サラマン愛好家からするとスー枠でも良かったんじゃないか…?と思う。

では、ファルコを落とした後はどうするか。

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ファルコの2つ目の効果、フィールドのガゼルを対象に取り、ガゼルを手札にバウンスして自身を特殊召喚

あとはこのままターンエンドでいい。

相手の手札は、ファルコの特殊召喚によって1ドローが追加され、6枚からの後攻ドローで7枚スタートとなる。

一見、何もしない方が6枚スタートにできるのでは?と思われるかもしれない。

そう思っている方はこのページをもう一度頭から読み直していただきたい。ガゼルは1枚で約3枚のアドバンテージを稼げる強力カードなのだ。

つまりは相手の増Gによる1ドローよりも、3枚分のガゼルを手札に戻す方がお得という考え方である。

また、ファルコは守備が1600あり、ガゼルの守備1000よりは若干突破しづらく、相手からの1キルはほぼほぼ無いだろう。

そのうえ、ファルコは墓地に送られた場合、墓地のサラマン魔法罠を対象に取り再セットできるという能力を備えている(ダメステでも発動可能なので戦闘破壊にも対応する)。初手で炎陣を使っていたり、マイニングのコストでサラマン魔法を落としていた場合は、それを回収して返しのターンで使用するという動きもできる。

 

場のファルコ、ベイルが破壊されても、ライフが1以上残っていて、手札にガゼルさえ残っていればサラマンは十分返せる。相手場に協力なモンスターが居座っていても問題ない。何なら先攻2ターン目1ショットキルも狙えるのだ。そう、融合軸サラマンならね。

また、先ほどから先攻の動きしか解説していないが、後攻ではどうするのか?大丈夫、サラマンは後攻初手6枚と相手の場によっては後攻1ターン1ショットキルも十分狙えるのだ。そう、融合軸ならね。

基本的なサラマンのカード、動き方を知っていただけたところで、今回は終わろうと思う。次回は、融合軸に必要となるカードや動きについて紹介していこうと思う。

では、一週間以内に上げるであろう次回の記事でお会いしましょう。

続き→https://jiro-shigetada.hateblo.jp/entry/fusionsalaman_2